ヨーロッパで出産祝いと言えば、「銀のスプーン」が真っ先に浮かびます。銀のスプーンを贈ると、赤ちゃんが将来お金に困らず幸せになれるという言い伝えがあります。
古くヨーロッパでは、銀が富の象徴とされており、貴族や上流階級の人々は銀食器を愛用していました。そのため、幸せな赤ちゃんは、銀のスプーンをくわえて生まれてくると言われていたからです。初めての食事を銀のスプーンで食べさせると生涯お金に困らず幸せになれるそうです。そのため、最近では日本でもお食い初めの際、銀のスプーンを使う方も増えているようです。出産祝いにも喜ばれそうですね。
銀は他の金属に比べると柔らかいため、傷がつきやすいのが難点ですが、銀食器についた傷がその家の歴史を物語るということで、ヨーロッパでは傷を悪いものとみなされてはいませんでした。古い物を大切にするその精神は見習いたいものですね。
余談ですが、貴族が銀のカトラリーを使う理由は他にもふたつありました。ひとつ目は、銀が毒物に触れると黒く変色する性質をもっていたことです。昔の王侯貴族は暗殺されることがあったので、食べる前に毒物を検出し、その危険を回避するための道具でした。
もうひとつは銀には魔除けの力があると信じられていました。昔から、金は太陽、銀は月に例えられることが多いですが、銀の神秘的な輝きには確かに不思議なパワーが眠っているのかもしれません。魔除けという点では、赤ちゃんへの銀のスプーンの贈り物はぴったりですね。